
野菜のブレを許せる人を増やす。サスティナブルな農業が教えてくれた“非効率”の大切さ#たしかに

「百年先もつづく、農業を」と掲げ、11年前、京都から始まった坂ノ途中という会社をご存知でしょうか。
今回、価値観発見メディア「#たしかに」に登場していただくのは、代表の小野邦彦さん。小野さんが目指すのは、持続可能な、環境負荷の少ない農業。新規参入が容易でない農業の世界で、若い新規就農者を支援しながらこれまでの業界の常識を変えたいという小野さん。
常識にとらわれず挑戦を続ける小野さんの生き方にはきっと、私たちが探し求める#たしかにがあるに違いない!そう確信しながら、インタビューを始めました。
小野邦彦さん
奈良県生まれ。京都大学総合人間学部卒。大学卒業後、外資系金融機関で2年間の修行期間を経て、2009年7月、株式会社坂ノ途中を設立。代表取締役に就任。持続可能な農業をめざして、国内ではの新規就農者が栽培した農産物の流通販売、海外ではコーヒーの品質向上を通じ森林伐採の減少や山間地での雇用創出に取り組んでいる。
若い新規就農者が、続けられる農業を。
——外資から農業の世界へ転向されたとうかがい、面白いなぁと思いました!きっかけはなんだったんでしょう?
外資系金融へはもともと手っ取り早く資金をという目的と、社会人としての勉強のために入ったんです。学生時代にバックパッカーをやっていて。旅の間、自分自身とシンプルに向き合うことができ、何が好きかと自問したら、環境や持続可能性というテーマに興味があるとわかった。その視点で考えると、日本の農業って危ういなぁと思ったんです。
——なるほど。起業前提でのキャリアプランだったんですね。
1年くらいの予定が、デリバティブの商品開発という、金融の中でも最も複雑そうな面白いことをやらせてもらっていたので、「もう少し(やろう)」と思っているうちにリーマンショックが起きて…。激動の中、食事もとったかどうかわからないような日々を送り、区切りがついたのが3年目の春。自分自身もひと回り成長できたというタイミングで退社したんです。
——坂ノ途中さんは今年11周年だそうで。立ち上げ当初と現在では、どんな変化がありましたか?
11年前、会社を立ち上げた当初は「なんでそんなことやるの?」と周りにまったく共感してもらえなかった。環境負荷が少ないってどういうことかというと、農薬や化学肥料、化石燃料など、外から投入するものに依存しないとか、季節や環境に合わせた作物を選択して栽培する農業になるんですが、つまり、それって農業を変えていくってこと。既存の就農者に変化を期待するだけでは難しく、やはり、若い人にたくさん入ってもらって、新しい農業に挑戦する人たちを増やさなきゃいけない。その後押しを僕らはやっているんです。
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