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野菜のブレを許せる人を増やす。サスティナブルな農業が教えてくれた“非効率”の大切さ

野菜のブレを、許せる人を増やす。

——後押しって、どんなことをしてるんでしょうか?

販売先の確保とその拡大ですね。僕らの事業はいくつか軸があるんだけど、全体の6〜7割が個人のお客さんへの通販。そのお客さんの、野菜への許容範囲を広げていく。どういうことかというと、例えばえんどう豆って、さやがありますよね?ウチ、さやが汚いってよく言われるんです。でもね、えんどう豆のさやって食べませんよね?汚いと何か問題ありますか、と。

——たしかに。言われてみれば、その通りです(笑)。

むしろ、さやがカラカラになる状態は、中の豆、豆ってつまりマメ科植物の種子なわけですが、この種子に栄養を渡せた証拠。えんどう豆が自分が育つのではなく、世代交代を受入れた状態なんです。そういうことを丁寧にコミュニケーションして、お客さんに面白がってもらいつつ健全な野菜本来の姿を知ってもらう、ということをやっています。

——知らなかったです。今度からさやが黒くっても避けないようにします。

見た目重視や安定供給へのニーズが、食味がのってない状態での流通をつくってしまったり、あるいは食品廃棄にもつながっちゃうんですよ

——えっ?なんで廃棄につながるんですか?

わかりやすいのは大根ですね。3月頃大根に「ス」が入ることがよくあります。スカスカになっちゃう。普段僕らが食べている大根の白い部分は、栄養の貯金箱なんです。冬の間に栄養を蓄えて、春になったら貯金箱の中身を使って花を咲かせよう、虫を呼んで受粉してもらおうと大根は思っているんです。だから春スカスカになるのは当たり前。だけど「ス」が入ってるかどうかは、表面からはわからないんです。なので、一般的な流通では「ス」が入っている可能性がある大根は、とりあえず破棄しとこうってなりやすい。

——なんともったいない!

でも僕らは「もしかして「ス」が入ってるかもしれないけど、その時は怒らないで連絡してね」って事前にお客さんに野菜のブレを話すんです。そうすることで生産者も憶測で破棄せず、ギリギリまで出荷できる。もちろん「ス」が入っていたら交換しますよ。美味しくないんで。ただ「春が来たんだなぁ」と思って欲しいってことなんです。

エンドウマメ
(巻きひげのかわいいエンドウマメ)

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