つくる人から食べる人までが1つのチームに
金丸さんご自身は、食の未来を豊かにするためには何が必要だとお考えですか?
やっぱり、コモディティ商品と価値を感じて買う商品、その両方の世界が広がっていくといいなと思います。職人さんがつくるような高価な商品に限らず、みんながいつもの食べる商品1つひとつに多くの人が関わっているんだということを、ぜひ知ってもらえたら。そういう部分でも価値を感じてくれる方が増えたらうれしいですね。
店頭に並んでいる商品にもストーリーがあるし、そこにあることが決して当たり前ではない、ということですよね。
今は商品をつくるところから売るところまでは1つのチームになって、より良いものをつくろうとしたり、いろいろな課題の解決に取り組んでいます。しかし、消費者はそのチームとは分かれた存在でした。それがある種の分断につながることもありました。でも、消費者も課題を共有して理解をし、一緒に取り組んでいくことも必要なのではないでしょうか。
つくる人から食べる人までが1つのチームになって、お互いのことを考えることができる世界になれば、もっとクリエイティブで豊かな未来につながっていくと思います。
編集部のここが「#たしかに」
企業間の共創に留まらず、企業と消費者をつないで共創のきっかけをつくり、食の未来を考えていこうとしている「Food Up Island」。
「つくる人と食べる人が1つのチームになる」という金森さんの言葉を聞いて、食の問題はすべての人にとって身近な問題であるはずなのに、自分自身が「つくる側の企業」と「購入する側の消費者」と無意識で線引きをしていたことに気づかされました。こうした境界をなくし、一人ひとりが自分ごととして食の未来を考えることが、大切なのかもしれません。
みんなで一緒にアイデアを出し合う。対話して相互理解する。「Food Up Island」の活動の中に、あらゆる分断を解決する答えがあるような気がします。
取材・執筆:村上佳代 撮影:Hiroki Yamaguchi 編集:#たしかに編集部